ガラパゴス諸島 2017 9 9

「金融決済革命」
 「仮想通貨」技術については、
ビットコインなどの個別通貨に着目してしまうと、
値動きのニュースになってしまいますが、
仮想通貨で使われているブロックチェーン(共有電子記帳技術)に着目すると、
これが、金融決済革命を引き起こすことになるでしょう。
 さて、「革命」の内容を具体的に考えてみましょう。
たとえば、金曜日の夜に、
A氏からB氏へ銀行振込で送金しようとすると、どうなるか。
 具体的には、ネット銀行のAA銀行から、
同じくネット銀行のBB銀行へ振り込む手続きをすると、どうなるか。
多くの人は、月曜日の朝に振り込まれると思うでしょう。
 しかし、ここで疑問に思わなければならないのです。
A氏もB氏も、ネット銀行を使っているのに、
現実に振り込まれるのは、何日もかかってしまうのは、「なぜか」と考えるべきです。
 飛脚を使っていた江戸時代ならばともかく、
スピードの時代と言われる21世紀において、
なぜ、こんなに日数がかかるのか。
 もし、AA銀行とBB銀行が通信回線で直結されていれば、
振り込みは、即座に終わるはずです。
 しかし、そうならないのは、理由があるからだと考えるべきです。
これは、AA銀行もBB銀行も、このような手続きについては、
全銀協システムを利用しているからです。
 このシステムを経由して、中央銀行である日本銀行の口座において、
AA銀行とBB銀行が銀行同士の決済を行なっているからです。
 全銀協も日本銀行も土日は休みですので、
たとえ、ネット銀行を使っても、振り込みは、月曜日になるのです。
 ところが、ブロックチェーン技術を使って、
「振り込み」ができるようになれば、どうなるか。
 ブロックチェーン・システムは、24時間365日稼働しているので、
「振り込み」は、即座に終わるでしょう。
(実際は、10分程度かかるかもしれません)
 このような「決済機能」は、銀行の主要な機能なので、
中央銀行や市中銀行が、「仮想通貨」技術を目の敵にするのです。
「仮想通貨」技術と銀行の関係は、新旧の戦いです。
 金融担当大臣だった竹中平蔵氏が、著書において、
「銀行が『Fintech』と騒いでいるが、
Fintechとは、銀行がいらなくなる技術のことだ」と言った理由が明白でしょう。
 ここまで書いても、多くの人は、ピンと来ないでしょう。
それは、日本という「ガラパゴス諸島」に住んでいるからです。
 世界を見渡せば、日本のように全国津々浦々、
銀行システムが行き渡っている国は、少ないのです。
世界の多くの国では、日本と比較すると、銀行システムが貧弱です。
 しかし、それが、21世紀においては幸いとなるのです。
今や、多くの国において、
インターネット技術を使った「モバイル決済革命」が急激に進行しているのです。
 日本は、「世界の孤島」なので、
このようなモバイル決済革命の影響は受けていませんが、
このままでは、日本が金融分野の「ガラパゴス諸島」になってしまうでしょう。






































































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